障害とは何か?:理解を深めるための手引き

介護を勉強中
先生、『障害』ってよく聞く言葉だけど、介護の場面ではどんな意味になるんですか?

介護の専門家
良い質問ですね。介護における『障害』は、身体や心の働きが低下したり、一部が欠けていたりすることで、日常生活に支障が出ている状態を指します。たとえば、目が見えにくい、耳が聞こえにくい、歩いたり物を持ったりするのが難しいなど、色々な種類があります。

介護を勉強中
なるほど。じゃあ、足を怪我して歩くのが大変な場合も『障害』になるんですか?

介護の専門家
そうですね。一時的な怪我でも、日常生活に支障が出ていれば『障害』と捉えることができます。ただし、介護の現場では、特に長期にわたる支援が必要な状態を『障害』と呼ぶことが多いですね。
障害とは。
お年寄りの世話をすることに関係する言葉である「障害」について説明します。ここでいう「障害」とは、体の機能や心の働きが弱まったり、なくなったり、体の一部がなくなったりすることを指します。これは、体と心の状態を表す言葉です。
障害の定義

人が、地域で生活していく上で何らかの困難を感じている時、その原因が身体や心の働きに関係している場合、私たちはそれを『障害』と呼びます。『障害』とは、単に身体の一部が不自由であったり、心の働きに違いがあることだけを指すのではありません。例えば、目が見えにくい、耳が聞こえにくい、手足の動きが思うようにいかない、記憶や考えがうまく働かないといった、様々な状態が含まれます。もちろん、腕や足がないといった場合も含まれます。
大切なのは、これらの状態が、日常生活を送る上でどの程度困りごとにつながるのか、ということです。同じ病気や怪我で、診断名が同じであっても、住んでいる場所の環境や周りの人の支えによって、困る程度は大きく変わってきます。例えば、階段が多い場所に一人で住んでいて、周りに助けてくれる人がいない場合には、足の動きが悪いことは大きな困難となります。しかし、段差のない家に住んでいて、家族やヘルパーさんがいつもそばにいてくれる場合には、それほど困らないかもしれません。
つまり、『障害』とは、その人を取り巻く環境も含めて考える必要があるということです。医療の分野では、病名や怪我の状態といった身体や心の状態そのものに着目します。しかし、福祉の分野では、その状態が日常生活にどう影響しているのか、という視点が重要になります。具体的には、着替えや食事、移動、排泄といった基本的な生活動作、そして仕事や学業、地域での活動への参加といった社会生活への影響を考えます。
このように、『障害』は、医学的な診断名だけで決まるのではなく、その人の生活全体をみて判断されるものなのです。周りの環境を整えたり、必要な支援があれば提供することで、困りごとは減らすことができます。そして、誰もが地域で安心して暮らせるように、社会全体で支えていくことが大切です。
| 視点 | 障害の捉え方 | 着目点 | 例 |
|---|---|---|---|
| 医療 | 身体や心の状態そのもの | 病名、怪我の状態 | 診断名(例:骨折、視力障害) |
| 福祉 | 状態が日常生活にどう影響しているか | 生活動作、社会生活への影響 | 着替え、食事、移動、排泄、仕事、学業、地域活動への参加 |
障害の種類

人が抱える困難には、大きく分けて四つの種類があります。一つ目は身体の働きに問題がある場合で、いわゆる身体障害と呼ばれるものです。これは、目が見えにくい、耳が聞こえにくいといった感覚器官に関するものから、手足がうまく動かせないといった運動機能に関するもの、心臓や腎臓などの内臓の働きが弱いといった内臓機能に関するものまで、様々な状態を含みます。日常生活を送る上で、道具を使ったり、周りの人の助けが必要になることもあります。
二つ目は、知的な働きに遅れが見られる場合で、知的障害と呼ばれています。これは、周りの状況を理解したり、判断したりすることが難しい状態です。そのため、日常生活を送る上で、他の人よりも多くの支援が必要となる場合があります。買い物や料理、お金の管理といった、普段私たちが何気なく行っていることにも困難を覚えることがあります。
三つ目は、心の働きに問題がある場合で、精神障害と呼ばれています。気分が落ち込んでしまううつ病や、幻覚や妄想といった症状が現れる統合失調症、気分が激しく上下する双極性障害など、様々な心の病が含まれます。心の状態が不安定になるため、日常生活や社会生活を送る上で支障が出てしまうことがあります。周りの人の理解と適切な支援が重要です。
四つ目は、発達段階で特定の能力の習得や発達に遅れが見られる場合で、発達障害と呼ばれています。自閉スペクトラム症(自閉症)、学習障害、注意欠陥多動性障害(ADHD)などが含まれ、他の人とコミュニケーションを取るのが苦手だったり、特定の教科の学習に著しい困難を感じたり、じっとしているのが難しく落ち着きがないといった特徴が見られます。得意なことと不得意なことの差が大きい場合もあり、その特性に合わせた支援が必要になります。
これら四つの分類は、あくまでも便宜的なものです。人によっては、複数の障害の特徴が重なっている場合もあります。また、障害の程度も人それぞれで、軽い人もいれば重い人もいます。それぞれの状態に合わせて適切な支援を行うことが大切です。
| 障害の種類 | 説明 | 例 | 日常生活への影響 |
|---|---|---|---|
| 身体障害 | 身体の働きに問題がある状態。感覚器官、運動機能、内臓機能など、様々な種類がある。 | 目が見えにくい、耳が聞こえにくい、手足が動かしにくい、心臓や腎臓の機能が弱い | 道具の使用や周りの人の助けが必要になる場合がある。 |
| 知的障害 | 知的な働きに遅れが見られる状態。周りの状況を理解したり、判断したりすることが難しい。 | 日常生活での買い物、料理、金銭管理などに困難を覚える。 | 日常生活を送る上で、他の人よりも多くの支援が必要となる場合がある。 |
| 精神障害 | 心の働きに問題がある状態。 | うつ病、統合失調症、双極性障害 | 心の状態が不安定になり、日常生活や社会生活に支障が出る。周りの人の理解と支援が重要。 |
| 発達障害 | 発達段階で特定の能力の習得や発達に遅れが見られる状態。 | 自閉スペクトラム症(自閉症)、学習障害、注意欠陥多動性障害(ADHD) | コミュニケーションが苦手、特定の教科の学習に困難、落ち着きがないなど。得意・不得意の差が大きく、特性に合わせた支援が必要。 |
社会モデルと医学モデル

人は誰でも、歳を重ねるにつれて、あるいは病気や事故によって、身体の機能が低下することがあります。このような変化をどのように捉えるか、二つの考え方があります。一つは医学モデル、もう一つは社会モデルです。
医学モデルでは、機能の低下を「障害」と捉え、治療や訓練によって元の状態に戻すことを目指します。まるで壊れた機械を修理するように、機能が回復すれば「障害」はなくなる、という考え方です。この考え方は、医療現場などにおいて、機能回復を目指す上で重要な役割を果たします。しかし、すべての機能低下が回復するとは限りません。回復の見込みがない、あるいは回復に時間がかかる場合、当人は日常生活で様々な困難に直面し、社会参加の機会が制限されてしまうこともあります。
一方、社会モデルでは、機能の低下そのものを「障害」とは捉えません。社会のしくみや人々の考え方、周りの環境が、機能低下のある人を生活しづらくさせているのだと考えます。例えば、階段しかない建物や、点字ブロックのない道路、あるいは障害のある人に対する偏見や差別などが、社会参加を阻む壁となっているのです。もし、街全体が段差のない構造になり、情報が様々な方法で提供され、誰もが互いを尊重し支え合う社会になれば、機能の低下のある人も、他の人と同じように生活し、社会に貢献できるはずです。
近年は、この社会モデルの考え方が広まりつつあります。段差をなくす、様々な情報提供の方法を整備する、障害のある人に対する理解を深めるための教育や啓発活動などを通して、誰もが暮らしやすい社会の実現を目指した取り組みが、社会全体で進められています。大切なのは、機能の低下のあるなしに関わらず、すべての人が尊重され、自分らしく生きられる社会を作ることです。
| 項目 | 医学モデル | 社会モデル |
|---|---|---|
| 機能低下の捉え方 | 障害 | 障害とは捉えない |
| 原因 | 個人の身体機能の低下 | 社会のしくみ、人々の考え方、周りの環境 |
| 対処法 | 治療や訓練による機能回復 | 社会環境の改善、偏見や差別の解消 |
| 目標 | 元の状態への回復 | 誰もが暮らしやすい社会の実現 |
| 長所 | 機能回復への取り組みを促進 | 社会全体のインクルーシブ化を促進 |
| 短所 | 回復困難な場合への対応が不十分、社会的な要因を軽視 | 個人の責任を軽視する可能性、具体的な対応策が複雑 |
障害者福祉の目的

障害を持つ方々が、ほかの方々と変わらず、地域で自分らしく暮らせるように支えることが、障害者福祉の大きな目的です。誰もが人として大切にされ、尊重される社会を作るために、様々な取り組みが行われています。
まず、生活していく上で欠かせない収入を確保するために、障害年金などの制度があります。病気や怪我などで働けなくなった場合に、生活の支えとなるお金を受け取ることができます。また、特別支援学校や支援施設では、それぞれの個性や特性に合わせた教育や支援を提供し、自立に向けた力を育みます。学校を卒業した後も、就労支援の取り組みを通して、自分に合った仕事を見つけるサポートを行っています。
地域で安心して暮らすためには、一人ひとりに合わせた支援も重要です。自宅で生活を送る上で困っていることをサポートするホームヘルパーの派遣や、外出や移動を助けるための福祉車両の貸出など、様々なサービスがあります。街の建物や道路のバリアフリー化も進められており、誰もが暮らしやすい環境づくりに力を入れています。
障害者手帳を持つことで、様々なサービスを利用しやすくなります。手帳の種類や等級によって受けられるサービスは異なりますが、バスや電車の運賃が割引になったり、公共施設の利用料が減額されるなどの特典があります。
これらの施策は、障害を持つ方が地域社会で孤立することなく、自分らしく生き生きと暮らせるように、社会全体で支えていくという考えに基づいています。差別や偏見をなくし、誰もが暮らしやすい社会を作るためには、一人ひとりの理解と協力が必要です。これからも、様々な取り組みを通して、すべての人が尊重され、共に生きる社会の実現を目指していきます。
| 目的 | 取り組み | 具体的な支援・サービス |
|---|---|---|
| 障害を持つ方々が地域で自分らしく暮らせるように支える | 収入確保 | 障害年金 |
| 教育・自立支援 | 特別支援学校、支援施設、就労支援 | |
| 地域生活支援 | ホームヘルパー派遣、福祉車両貸出、バリアフリー化 | |
| 障害者手帳 | 交通費割引、公共施設利用料減額など |
私たちができること

誰もが暮らしやすい社会を作るためには、障害について正しく理解し、偏見や差別をなくすことが大切です。障害のあるなしに関わらず、互いに思いやり、支え合うことで、共に生きる社会を目指していく必要があります。そのためには、私たち一人ひとりができることを考え、行動に移していくことが重要です。
まず、地域社会で障害のある方と接する機会を増やすことを心がけましょう。挨拶を交わしたり、日常的な会話をする中で、自然と理解が深まります。また、困っている様子の方を見かけたら、ためらわずに声をかけて、必要な支援を申し出ることも大切です。困っていることに気づいていても、声をかけづらいと感じることもあるかもしれません。しかし、勇気を出して声をかけることで、相手を助けるだけでなく、温かい人間関係を築くことにも繋がります。
次に、街の設備や環境のバリアフリー化について、もっと関心を持ちましょう。段差や狭い通路、点字ブロックの不足など、不便な点を発見したら、関係機関に改善を提案するなど、積極的に行動することが重要です。自分たちの住む街を、誰もが快適に過ごせる場所にするために、小さなことでもできることから始めていくことが大切です。
さらに、障害者差別解消法について学び、差別につながる言動をしないように気をつけましょう。法律を知ることで、何が差別にあたるのかを理解し、無意識のうちに差別をしてしまうことを防ぐことができます。例えば、障害のある方を特別扱いするのではなく、一人の人間として尊重することが大切です。
このように、私たち一人ひとりの意識と行動が変わることが、共に生きる社会の実現へと繋がるのです。小さなことでも、できることから始め、周りの人にも呼びかけていくことで、大きな力となります。共に生きる社会を作るために、今、私たちに何ができるのかを考え、行動していきましょう。
| 暮らしやすい社会を作るために | 具体的な行動 |
|---|---|
| 障害について正しく理解し、偏見や差別をなくす | 障害者差別解消法について学び、差別につながる言動をしない。 障害のある方を特別扱いするのではなく、一人の人間として尊重する。 |
| 地域社会で障害のある方と接する機会を増やす | 挨拶を交わしたり、日常的な会話をする。 困っている様子の方を見かけたら、ためらわずに声をかけて、必要な支援を申し出る。 |
| 街の設備や環境のバリアフリー化について、もっと関心を持つ | 段差や狭い通路、点字ブロックの不足など、不便な点を発見したら、関係機関に改善を提案する。 |
| 一人ひとりの意識と行動を変える | 小さなことでも、できることから始め、周りの人にも呼びかけていく。 |
まとめ

障害とは、身体や精神の機能に何らかの制限があることだけを指すのではありません。日常生活を送る上で、どの程度不自由を感じているか、つまり生活のしやすさという視点も合わせて考えることが重要です。これは機能レベルという考え方で、例えば、足が不自由な方が階段を上るのが難しいといった身体的な面だけでなく、人前で話すことに強い不安を感じるといった精神的な面も含まれます。
障害の種類は非常に多様で、視覚、聴覚、肢体、知的、精神、発達、内部障害など、様々なものがあります。一人ひとり異なる個性を持つように、障害の程度や種類、生活上の困りごとも様々です。そのため、画一的な支援ではなく、それぞれの状況に合わせた丁寧な対応が必要です。近年では、社会モデルという考え方が重視されています。これは、障害は個人の問題ではなく、社会の環境が整っていないことが原因で生じているという考え方です。例えば、駅にエレベーターやスロープが設置されていないことで、車いすの人は電車を利用しづらくなります。つまり、社会全体でバリアフリー化を進めたり、合理的配慮を拡充したりすることで、障害のある人もない人も暮らしやすい社会を作っていこうというものです。
障害者福祉には、様々な制度やサービスがあります。障害のある人が地域で自立した生活を送れるよう、経済的な支援や、日常生活に必要な介護、就労、社会参加の支援など、総合的なサポートを提供しています。
障害のある人も地域の一員として当たり前に暮らせる社会を実現するために、私たち一人ひとりにできることがあります。まずは障害について正しく理解し、偏見や差別をなくすよう心掛けることが大切です。そして、困っている人がいたら、積極的に声をかけて助け合う、困りごとを理解しようと努めるなど、小さなことからでも行動に移していくことが、共生社会の実現につながるのです。共に生きる社会を築くために、まずは身近なところから、できることから始めてみましょう。

