機能障害

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医療

暮らしと健康:国際障害分類入門

国際障害分類(ICF)は、世界保健機関(WHO)が作った、健康状態を分類するための世界共通の基準です。ICFが作られるまでは、障害のある人を支える考え方に偏りがありました。障害は、その人自身の問題として捉えられがちで、社会全体で支えるという視点はあまり重要視されていませんでした。しかし、ICFは、障害を個人の中にある問題としてだけ捉えるのではなく、社会環境との関わりも含めて考える、全く新しい見方を示しました。私たちの暮らす社会には、段差や狭い通路、点字ブロックの不足など、障害のある人の生活を難しくする様々な要因が存在します。ICFは、こうした社会環境の整備の遅れも、障害を生み出す一因だと指摘しています。ICFでは、人の健康状態は、身体の機能や構造、活動、参加という三つの側面から捉えられています。身体の機能や構造とは、例えば、視力や聴力、手足の動きなどを指します。活動とは、身の回りの世話や移動、コミュニケーションなど、人が日常生活で行う様々な行動のことです。そして、参加とは、教育や仕事、地域活動など、社会生活への関わりを表します。ICFは、これらの三つの側面に加えて、環境因子と個人因子という二つの要素も考慮に入れています。環境因子は、家の設備や交通機関、社会の制度や法律など、人を囲む環境全体を指します。個人因子は、年齢や性別、性格、価値観、生活経験など、その人自身に固有の要素のことです。ICFは、これらの要素が複雑に絡み合い、人の健康状態に影響を与えていると捉えています。このように、ICFは、障害を社会全体で理解し、支えるための共通の枠組みを提供しています。ICFの考え方を基に、障害のある人が暮らしやすい社会を作るためには、一人ひとりの理解と協力が必要です。
認知症

中核症状:認知症をよく理解するために

中核症状とは、認知症の主な症状であり、脳の働きが衰えることで起こります。具体的には、記憶、理解、判断といった、ものごとを考えたり、感じたりする力が低下し、普段の生活に影響が出てしまう状態を指します。記憶力の低下は、中核症状の代表的な例です。例えば、少し前に聞いた話を忘れてしまったり、馴染みのある場所に迷ってしまうといったことが起こります。また、料理の作り方や電話番号といった、以前は簡単に思い出せていた情報が思い出せなくなることもあります。理解力の低下も見られる症状です。周りの人が話している内容が理解できなかったり、テレビやラジオの内容が聞き取れなくなったりします。また、状況を把握することが難しくなり、適切な対応ができなくなることもあります。例えば、季節に合わない服装をしたり、時間や場所を間違えてしまったりするといったことが起こります。判断力の低下も中核症状の一つです。物事の良し悪しを判断することが難しくなったり、状況に応じて適切な行動をとることができなくなったりします。例えば、お金の管理ができなくなったり、危険な行動をとってしまったりするといったことが起こります。これらの症状は、脳の神経細胞が傷つき、情報がうまく伝わらなくなることで起こると考えられています。中核症状は、認知症が進むにつれて徐々に悪化していく傾向があります。早期発見と適切なケアが非常に重要です。周りの人は、これらの変化に気を配り、専門の医師に相談することが大切です。医師の診察を受け、適切な対応をすることで、症状の進行を遅らせ、より良い生活を送ることができるようになります。
その他

障害とは何か?:理解を深めるための手引き

人が、地域で生活していく上で何らかの困難を感じている時、その原因が身体や心の働きに関係している場合、私たちはそれを『障害』と呼びます。『障害』とは、単に身体の一部が不自由であったり、心の働きに違いがあることだけを指すのではありません。例えば、目が見えにくい、耳が聞こえにくい、手足の動きが思うようにいかない、記憶や考えがうまく働かないといった、様々な状態が含まれます。もちろん、腕や足がないといった場合も含まれます。大切なのは、これらの状態が、日常生活を送る上でどの程度困りごとにつながるのか、ということです。同じ病気や怪我で、診断名が同じであっても、住んでいる場所の環境や周りの人の支えによって、困る程度は大きく変わってきます。例えば、階段が多い場所に一人で住んでいて、周りに助けてくれる人がいない場合には、足の動きが悪いことは大きな困難となります。しかし、段差のない家に住んでいて、家族やヘルパーさんがいつもそばにいてくれる場合には、それほど困らないかもしれません。つまり、『障害』とは、その人を取り巻く環境も含めて考える必要があるということです。医療の分野では、病名や怪我の状態といった身体や心の状態そのものに着目します。しかし、福祉の分野では、その状態が日常生活にどう影響しているのか、という視点が重要になります。具体的には、着替えや食事、移動、排泄といった基本的な生活動作、そして仕事や学業、地域での活動への参加といった社会生活への影響を考えます。このように、『障害』は、医学的な診断名だけで決まるのではなく、その人の生活全体をみて判断されるものなのです。周りの環境を整えたり、必要な支援があれば提供することで、困りごとは減らすことができます。そして、誰もが地域で安心して暮らせるように、社会全体で支えていくことが大切です。
医療

能力障害への理解を深める

能力障害とは、日常生活を送る上で欠かせない動作や活動が難しくなることを指します。例えば、朝起きて顔を洗い、歯を磨き、服を着替えるといった、毎日の習慣となっている動作がスムーズに行えなくなる場合があります。具体的には、食事をする際に箸やスプーンをうまく使えなかったり、服のボタンを留めるのが難しかったり、一人で入浴することが困難になるなど、身辺の世話に関する動作に支障が出る状態です。また、歩いたり、階段を上り下りしたり、椅子から立ち上がったりといった基本的な動作にも困難が生じることがあります。さらに、家の中を移動する、近所の店まで買い物に行くといった移動に関しても、介助が必要となるケースもあります。能力障害は身体的な動作だけでなく、他人との意思疎通にも影響を及ぼすことがあります。例えば、話すこと、聞くこと、読むこと、書くことといったコミュニケーション活動に困難が生じる場合があります。自分の気持ちを言葉で伝えられなかったり、相手の言っていることが理解できなかったりすることで、社会生活を送る上で支障が出ることもあります。能力障害が起きる原因は様々です。加齢に伴う身体機能の低下によって、筋力が衰えたり、関節の動きが悪くなったりすることで、日常生活動作が難しくなるケースは少なくありません。また、脳卒中や骨折などの病気やけがが原因で、後遺症として能力障害が残ることもあります。その他にも、生まれつきの体質や、発達上の特性によって能力障害を持つ人もいます。能力障害の程度は人それぞれで、軽度の方から重度の方まで幅広く存在します。そのため、一人ひとりの状況に合わせた適切な支援を行うことが重要です。日常生活における些細な動作の難しさに気づき、早いうちからサポートする体制を整えることで、能力障害を持つ人々がより安心して快適に生活を送れるようになり、社会参加の促進にも繋がります。
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