医療 機能的残気量(FRC)について
普段、私たちが特に意識することなく呼吸をしていますが、息をすべて吐ききったとしても、肺の中にはまだ空気が残っています。この自然に肺に残る空気の量を機能的残気量といいます。機能的残気量は、肺胞という、ガス交換を行う小さな袋が完全にぺちゃんこになるのを防ぐ、いわば空気のクッションのような役割を担っています。肺胞がつぶれてしまうと、再び空気を取り込むのが大変になるため、常に少し空気を残しておくことで、次の呼吸をスムーズに行うことができるのです。この残っている空気のおかげで、呼吸していないわずかな間も、血液に酸素を送り込み続けることが可能になります。まるで、常にゆるやかに燃えている小さな炎のように、私たちの生命活動を支える酸素の供給を絶え間なく続けているのです。この機能的残気量は、人によって大きく異なることがあります。年齢を重ねると、肺の伸び縮みする力が弱まるため、機能的残気量は多くなる傾向があります。若い木のようにしなやかな肺は、年を重ねるにつれて、徐々に硬くなっていくと言えるでしょう。また、体が大きい人や男性の方が、一般的に機能的残気量は多くなります。さらに、太っている人は、お腹の中の脂肪がお腹と胸の間にある横隔膜を押し上げてしまうため、肺が広がりにくくなり、機能的残気量が少なくなることがあります。そして、肺の病気になると、この機能的残気量の値が大きく変化することがあります。例えば、肺気腫などの病気では、肺胞の壁が壊れてしまうため、機能的残気量は増加します。逆に、肺線維症のように肺が硬くなってしまう病気では、機能的残気量は減少します。そのため、機能的残気量を測定することは、肺の病気を診断する上で重要な手がかりとなります。
