褥瘡を防ぐための基礎知識

介護を勉強中
先生、褥瘡の予防って具体的にどんなことをすればいいんですか?

介護の専門家
いい質問だね。褥瘡の予防は、大きく分けて二つある。一つは、体の同じ場所に圧力がかかり続けないようにすること。もう一つは、皮膚を清潔に保つことだよ。

介護を勉強中
圧力がかかり続けないようにするには、体位変換をすればいいんですよね?皮膚を清潔に保つっていうのは、お風呂とかですか?

介護の専門家
そうだね。体位変換は2時間ごとに行うのが理想的だ。皮膚を清潔に保つには、入浴の他に、こまめに体を拭いたり、清潔な寝巻きに着替えたりすることも大切だよ。それと、栄養状態も褥瘡の発生に関係するから、バランスの良い食事を心がけることも忘れずにね。
褥瘡とは。
床ずれについて説明します。床ずれとは、同じ場所に長時間圧力がかかったり、湿っていたり、栄養が足りなかったり、こすれたりすることでできる傷のことです。ひどくなると、皮膚が腐ったり、ばい菌が入ったりして、命に関わることもあります。特に、おしり、頭の後ろ、かかとなど、寝ているときに体重がかかる部分にできやすいので注意が必要です。
褥瘡とは何か

褥瘡(じょくそう)とは、一般的に床ずれと呼ばれる皮膚やその下の組織の損傷のことです。寝たきりや車椅子など、同じ姿勢を長時間続けることで、体重で特定の部位が圧迫され、その部分の血流が悪くなることが原因で起こります。
持続的な圧力によって、皮膚や皮下組織への酸素供給が妨げられ、細胞が壊死(えし)していくのです。初期の褥瘡は、皮膚が赤くなる、あるいは紫色に変色するといった症状が現れます。指で押しても色が変わらず、少し腫れていることもあります。この段階では、痛みを感じない場合もありますので、注意深く観察することが大切です。
褥瘡が進行すると、皮膚がむけたり、水ぶくれができたり、浅い潰瘍(かいよう)が生じます。さらに悪化すると、皮膚の深部組織である筋肉や腱(けん)、さらには骨にまで損傷が及び、深い潰瘍となります。重度の褥瘡は、細菌感染を起こしやすく、発熱や悪臭を伴うこともあります。感染が全身に広がると、生命に関わる危険性も出てきます。
褥瘡は、早期発見と適切なケアが何よりも重要です。日頃から皮膚の状態をよく観察し、少しでも異常が見つかった場合は、すぐに医療機関や介護施設の専門家に相談しましょう。また、褥瘡の予防には、体位変換をこまめに行い、圧迫を分散させることが重要です。栄養状態を良好に保ち、皮膚を清潔に保つことも大切です。褥瘡は、適切なケアと予防によって防ぐことができます。周りの人々の協力と理解も、褥瘡を防ぐ上で大きな力となります。
| 段階 | 症状 | その他 |
|---|---|---|
| 初期 | 皮膚の赤み、紫色の変色、指で押しても色が変わらない、少し腫れている | 痛みを感じない場合もある |
| 進行期 | 皮膚がむける、水ぶくれ、浅い潰瘍 | |
| 重度 | 深い潰瘍、筋肉や腱、骨への損傷 | 細菌感染、発熱、悪臭、生命に関わる危険性 |
原因: 寝たきりや車椅子など、同じ姿勢を長時間続けることによる体重圧迫と血行不良
予防: 体位変換、圧迫分散、栄養状態の維持、皮膚の清潔保持
早期発見と適切なケアが重要
褥瘡になりやすい場所

床ずれ、褥瘡(じょくそう)と呼ばれる皮膚のトラブルは、骨が出ているところや皮膚が薄いところに出来やすいものです。
寝たきりの方の場合、体重がかかりやすい場所に注意が必要です。例えば、お尻の上の方にある仙骨(せんこつ)という骨の部分。ここは体重が集中しやすく、床ずれが出来やすい場所です。また、頭の後ろの後頭部、かかと、肩甲骨(けんこうこつ)、肘、くるぶしも、骨が出ていたり皮膚が薄かったりするため、注意が必要です。これらの部分は、体の重みで圧迫されると血の流れが悪くなり、皮膚に栄養や酸素が行き渡らなくなって傷になってしまうのです。
車椅子によく乗る方も、床ずれの危険があります。座面と接する仙骨、お尻の下の方にある坐骨結節(ざこつけっせつ)、肩甲骨などは特に注意が必要です。長時間同じ姿勢で座っていると、これらの部分に圧力がかかり続け、血の流れが悪くなってしまいます。
床ずれを防ぐためには、圧迫を減らすことが大切です。寝たきりの方の場合、2時間おきくらいに体位を変えることで、圧力がかかる場所を分散させることができます。仰向けだけでなく、横向きやうつ伏せなど、色々な姿勢をとるようにしましょう。また、クッションや枕などを使い、骨の出ている部分を保護するのも効果的です。車椅子を使用する方も、こまめに姿勢を変える、クッションを使うなど、工夫してみましょう。少しでも違和感を感じたら、早めに専門家に相談することをお勧めします。
| 床ずれのできやすい場所 | 寝たきり | 車椅子 |
|---|---|---|
| 仙骨 | ○ | ○ |
| 後頭部 | ○ | |
| かかと | ○ | |
| 肩甲骨 | ○ | ○ |
| 肘 | ○ | |
| くるぶし | ○ | |
| 坐骨結節 | ○ |
褥瘡の主な原因

床ずれ、褥瘡は、寝たきりや車椅子生活など、長時間同じ姿勢を続けることで、体重で圧迫された体の部位に発生する皮膚や皮下組織の損傷です。褥瘡の発生には、圧迫だけでなく様々な要因が複雑に絡み合っています。
まず、体の一部への継続的な圧迫は、毛細血管を圧迫することで血流を阻害し、酸素や栄養が細胞に行き渡らなくなります。これが組織の壊死につながり、褥瘡となって表れます。特に骨の突出している部分、例えば仙骨部(お尻)、踵(かかと)、肩甲骨、くるぶしなどは、圧迫を受けやすく褥瘡が発生しやすい場所です。
皮膚の湿潤も褥瘡発生の大きな危険因子です。汗や尿、便などで皮膚が濡れた状態が続くと、皮膚はもろくなり、わずかな摩擦でも損傷しやすくなります。湿潤した皮膚は、バリア機能が低下し、細菌感染のリスクも高まります。失禁や発汗が多い方は、特に皮膚を清潔に保ち、乾燥させることが大切です。
栄養状態も褥瘡の発生に深く関わっています。たんぱく質やビタミン、ミネラルなどの栄養が不足すると、皮膚の抵抗力が低下し、傷の治りも遅くなります。バランスの良い食事を摂ることは、健康な皮膚を保ち褥瘡を予防するために不可欠です。
寝具との摩擦や体位変換時のずれも皮膚への負担となります。シーツの素材が粗かったり、体位変換が不適切であったりすると、皮膚に摩擦やずれが生じ、褥瘡の発生や悪化につながります。滑りの良い素材の寝具を使用したり、体位変換の際に皮膚をしっかりと保護したりするなどの工夫が必要です。
さらに、加齢に伴う皮膚の菲薄化(皮膚が薄くなること)や病気による免疫力の低下も褥瘡のリスクを高める要因です。高齢の方は皮膚が薄く、皮下脂肪も少ないため、圧迫や摩擦による損傷を受けやすくなっています。また、糖尿病などの病気は、血流を悪くしたり免疫力を低下させたりするため、褥瘡のリスクを高めます。
褥瘡を予防し、早期に発見するためには、これらの要因を理解し、日ごろから観察を続けることが重要です。医療従事者や介護者と連携し、適切なケアを行うことで、褥瘡の発生や悪化を防ぐことができます。
| 要因 | 詳細 | 影響 | 対策 |
|---|---|---|---|
| 圧迫 | 長時間同じ姿勢でいることで、体重で体の一部が圧迫される。特に骨突出部(仙骨、踵、肩甲骨、くるぶし等) | 毛細血管圧迫→血流阻害→酸素・栄養不足→組織壊死→褥瘡 | 体位変換、適切な寝具 |
| 湿潤 | 汗、尿、便などで皮膚が濡れた状態が続く。 | 皮膚がもろくなり、損傷しやすく、感染リスクも高まる。 | 皮膚の清潔保持、乾燥、失禁対策 |
| 栄養 | たんぱく質、ビタミン、ミネラル不足 | 皮膚の抵抗力低下、治癒遅延 | バランスの良い食事 |
| 摩擦・ずれ | 寝具との摩擦や体位変換時のずれ | 皮膚への負担→褥瘡発生・悪化 | 滑りの良い寝具、体位変換時の皮膚保護 |
| 加齢 | 皮膚の菲薄化、皮下脂肪減少 | 圧迫・摩擦による損傷を受けやすい | 皮膚の保湿、丁寧なケア |
| 病気 | 糖尿病など | 血流悪化、免疫力低下 | 適切な病気の管理 |
褥瘡を予防するために

寝たきりや車椅子生活など、長時間同じ姿勢を保つことで、体重による圧迫で血行が悪くなり、皮膚や皮下組織が損傷してしまうことを褥瘡(床ずれ)といいます。褥瘡は、一度できてしまうと治癒に時間がかかり、生活の質を大きく低下させてしまうため、予防が何よりも大切です。褥瘡を予防するためには、様々な角度からの対策が必要です。
まず、最も重要なのは、身体にかかる圧迫を減らすことです。同じ体勢を長時間続けることで、特定の部位に圧力が集中し、褥瘡が発生しやすくなります。そのため、2時間ごとを目安に体位を変えるようにしましょう。寝返りを打つのが難しい方の場合には、介護者が定期的に体位変換を行う必要があります。また、適切なクッションやマットレスを使用することで、体圧を分散し、褥瘡のリスクを軽減することができます。空気で膨らませるタイプやジェル状のものなど、様々な種類がありますので、状態に合わせて選びましょう。
次に、皮膚を清潔に保つことも大切です。皮膚が汚れていると、炎症を起こしやすくなり、褥瘡のリスクが高まります。入浴や清拭の際には、お湯の温度に注意し、刺激の少ない石鹸を使いましょう。また、洗い終わったら、タオルで優しく水分を拭き取り、しっかりと乾燥させましょう。湿った状態が続くと、皮膚がふやけて傷つきやすくなります。特に、おしりや股の間など、皮膚が重なりやすい部分は丁寧にケアする必要があります。
さらに、バランスの取れた食事で栄養状態を良くすることも重要です。皮膚や組織の再生には、たんぱく質やビタミン、ミネラルなど様々な栄養素が必要です。これらの栄養素が不足すると、皮膚の抵抗力が弱まり、褥瘡ができやすくなります。肉や魚、卵、大豆製品、野菜、果物など、様々な食品をバランスよく食べましょう。また、十分な水分を摂ることも大切です。
そして、摩擦やずれによる皮膚への負担を減らすことも褥瘡予防には欠かせません。シーツの素材は、綿など肌触りの良い素材を選び、シワがないように伸ばしましょう。寝衣も同様です。また、身体を移動させる際には、抱き上げる、もしくは滑らせるなどして、皮膚への摩擦を最小限に抑えるようにしましょう。
最後に、日頃から皮膚の状態を観察し、少しでも異常があれば、早めに医師や看護師に相談しましょう。皮膚の色が変わっていたり、腫れていたり、熱を持っていたりする場合は、褥瘡の初期症状である可能性があります。早期発見、早期治療が大切です。
| 対策 | 具体的な方法 |
|---|---|
| 圧迫を減らす | 2時間ごとの体位変換、適切なクッション・マットレスの使用 |
| 皮膚を清潔に保つ | 適切な温度のお湯と刺激の少ない石鹸での入浴・清拭、丁寧な乾燥、特に皮膚が重なりやすい部分のケア |
| 栄養状態を良くする | バランスの取れた食事(たんぱく質、ビタミン、ミネラルなど)、十分な水分摂取 |
| 摩擦・ずれを減らす | 肌触りの良いシーツと寝衣、シワを伸ばす、抱き上げる・滑らせるなどして摩擦を最小限に |
| 皮膚の状態を観察 | 異常(皮膚の色の変化、腫れ、熱感など)があれば早期に医師・看護師に相談 |
褥瘡の治療

床ずれ、褥瘡は、寝たきりや車いす生活などで長時間同じ体勢を続けることで、体重で皮膚やその下の組織が圧迫されて血行が悪くなり、組織が壊死してしまうことです。その治療は、傷の深さや状態、感染の有無などによって様々です。
まず、比較的浅い、表皮や真皮の一部が傷ついた程度の褥瘡の場合、最も重要なのは、圧迫を取り除くことです。体位変換をこまめに行い、圧迫がかかりやすい場所にクッションなどを用いることで、患部への負担を軽減します。傷口を清潔に保ち、乾燥を防ぐために適切な被覆材を用います。栄養状態の改善も大切で、バランスの良い食事を摂り、免疫力を高めることで治癒を促進します。
一方、傷が皮下組織や筋肉にまで達する深い褥瘡になると、より集中的な治療が必要になります。壊死した組織や腐敗した部分は、外科的に取り除かなければなりません。傷口が大きい場合は、皮膚移植手術を行うこともあります。細菌感染が起きている場合は、抗生物質を投与して感染の拡大を防ぎます。
褥瘡の治療は、長期にわたる場合もあります。そのため、医師や看護師、理学療法士、管理栄養士など多職種の専門家と連携し、包括的なケアを受けることが重要です。患者さん自身やご家族も、日常生活における注意点やスキンケアの方法などについて指導を受け、再発予防に努めることが大切です。栄養管理、体位変換、清潔保持など、地道なケアの積み重ねが、褥瘡の治癒と再発防止につながります。
褥瘡は、適切な予防と早期発見、そして適切な治療によって、治癒が期待できる病気です。日頃から皮膚の状態に気を配り、少しでも異常を感じたら、早めに専門家に相談することが大切です。
| 褥瘡の深さ | 治療法 | その他 |
|---|---|---|
| 表皮・真皮の一部 |
|
|
| 皮下組織・筋肉 |
|
多職種連携の包括的ケア |
| 全般 | 日常生活指導、スキンケア指導 | 栄養管理、体位変換、清潔保持、早期発見、専門家への相談 |
日常生活での注意点

床ずれは、寝たきりや車いす生活を送る方にとって大きな問題です。しかし、日々の暮らしでの少しの心がけで、床ずれの予防や早期発見、そして悪化を防ぐことが可能です。
まず体の向きを定期的に変えることが重要です。同じ姿勢を長時間続けると、体重で圧迫された部分が血行不良になり、床ずれの発生につながります。2時間ごとを目安に、仰向け、横向きなどを交互に変え、体への負担を分散させましょう。抱き枕やクッション、専用のマットレスなどを活用すれば、より効果的に圧力を軽減できます。
栄養のバランスも大切です。免疫力の低下は、床ずれの悪化を招きます。毎日、肉や魚、野菜、果物、穀物など様々な食品をバランスよく食べ、十分な栄養を摂りましょう。水分補給も忘れずに行いましょう。
皮膚の清潔と乾燥を保つことも重要です。入浴やトイレの後には、お湯で優しく洗い、清潔なタオルで丁寧に水分を拭き取り、しっかりと乾燥させましょう。ゴシゴシこすったり、熱いお湯で洗ったりすると、皮膚への負担が大きくなってしまうので気を付けましょう。
皮膚の状態を毎日確認する習慣をつけましょう。特に、骨が出っ張っているお尻やひじ、かかとなどは注意深く観察しましょう。皮膚が赤くなっていたり、水ぶくれができていたり、傷ができている場合は、床ずれの初期症状の可能性があります。少しでも異変に気づいたら、すぐに医師や看護師に相談しましょう。
家族や介護者の方々は、床ずれの兆候を見逃さないように気を配り、適切なケアを行いましょう。日々の丁寧な観察とケアが、床ずれの予防と早期発見につながります。
| 床ずれケアのポイント | 具体的な方法 | 目的 |
|---|---|---|
| 体位変換 | 2時間ごとを目安に、仰向け、横向きなどを交互に変える。抱き枕やクッション、専用のマットレスなどを活用する。 | 体重による圧迫を分散し、血行不良を防ぐ。 |
| 栄養管理 | 肉、魚、野菜、果物、穀物など様々な食品をバランスよく摂取する。水分補給も十分に行う。 | 免疫力の低下を防ぎ、床ずれの悪化を防ぐ。 |
| 皮膚の清潔と乾燥 | 入浴やトイレの後はお湯で優しく洗い、清潔なタオルで丁寧に水分を拭き取り、しっかりと乾燥させる。ゴシゴシこすったり、熱いお湯の使用は避ける。 | 皮膚への負担を軽減し、清潔に保つ。 |
| 皮膚の状態確認 | 毎日、特に骨が出っ張っているお尻、ひじ、かかとなどを注意深く観察する。赤み、水ぶくれ、傷などに注意する。 | 床ずれの早期発見 |
| 相談 | 皮膚の異変に気づいたらすぐに医師や看護師に相談する。 | 適切な治療とケアを受ける。 |
