WHO

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介護保険

介護における自立とは?

介護の世界において『自立』とは、日常生活における基本的な動作を自分自身で行うことができる状態を指します。具体的には、食事、入浴、着替え、トイレへの移動、排泄といった行為を、他者の助けを借りずに一人で行えるかどうかが判断の基準となります。これらの動作が滞りなく行えることは、生活の質を高める上で非常に大切です。自分の力で物事を行うことができるという達成感は、精神的な充実感につながり、心身の健康維持にも良い影響を与えます。しかしながら、『自立』の定義は、人それぞれで異なり、また同じ人でも置かれた状況によって変化する流動的な概念であることを忘れてはなりません。例えば、若い頃は難なくできていた動作が、年齢を重ねることによる身体機能の低下や病気、怪我などによってできなくなることもあります。また、一時的に体調を崩した時などは、普段は自立している人でも介助が必要になる場合もあります。そのため、画一的な基準で自立・非自立を判断するのではなく、一人ひとりの状況を丁寧に把握し、その人に合った適切な支援を提供することが重要です。加齢や病気によって身体機能が低下した場合でも、残存機能を最大限に活かせるように工夫することで、可能な限り自立した生活を送れるように支援することが介護の役割です。例えば、着替えが困難な方には、着脱しやすい服を提案したり、補助具を使用することを勧めるなど、その人の状態に合わせた具体的な支援を行う必要があります。また、精神的な自立も重要です。たとえ身体的に介助が必要な状態であっても、自分の意思を尊重され、自分で選択し決定できるよう支援することで、その人らしい生活を送ることができるようサポートしていくことが大切です。
医療

暮らしと健康:国際障害分類入門

国際障害分類(ICF)は、世界保健機関(WHO)が作った、健康状態を分類するための世界共通の基準です。ICFが作られるまでは、障害のある人を支える考え方に偏りがありました。障害は、その人自身の問題として捉えられがちで、社会全体で支えるという視点はあまり重要視されていませんでした。しかし、ICFは、障害を個人の中にある問題としてだけ捉えるのではなく、社会環境との関わりも含めて考える、全く新しい見方を示しました。私たちの暮らす社会には、段差や狭い通路、点字ブロックの不足など、障害のある人の生活を難しくする様々な要因が存在します。ICFは、こうした社会環境の整備の遅れも、障害を生み出す一因だと指摘しています。ICFでは、人の健康状態は、身体の機能や構造、活動、参加という三つの側面から捉えられています。身体の機能や構造とは、例えば、視力や聴力、手足の動きなどを指します。活動とは、身の回りの世話や移動、コミュニケーションなど、人が日常生活で行う様々な行動のことです。そして、参加とは、教育や仕事、地域活動など、社会生活への関わりを表します。ICFは、これらの三つの側面に加えて、環境因子と個人因子という二つの要素も考慮に入れています。環境因子は、家の設備や交通機関、社会の制度や法律など、人を囲む環境全体を指します。個人因子は、年齢や性別、性格、価値観、生活経験など、その人自身に固有の要素のことです。ICFは、これらの要素が複雑に絡み合い、人の健康状態に影響を与えていると捉えています。このように、ICFは、障害を社会全体で理解し、支えるための共通の枠組みを提供しています。ICFの考え方を基に、障害のある人が暮らしやすい社会を作るためには、一人ひとりの理解と協力が必要です。
医療

ロービジョン:見えにくい世界と生きる

ロービジョンとは、視力が低下し、見えにくい状態を表す言葉です。ものの輪郭がぼやけたり、視野が狭くなったり、色の識別が難しくなったりと、見えにくさは人それぞれです。視力は残っているものの、眼鏡やコンタクトレンズを使用しても、十分な視力矯正ができない状態を指します。世界保健機構(WHO)では、矯正視力が0.05以上0.3未満の場合をロービジョンと定義しています。0.3に満たない視力では、日常生活で様々な困難が生じます。例えば、新聞や本の小さな文字を読むこと、バスや電車などの乗り物に乗ること、スーパーや商店で買い物をしたり、食事の支度をしたりといった、普段何気なく行っている行動に支障をきたすことがあります。ロービジョンを引き起こす原因となる目の病気は様々です。加齢黄斑変性、緑内障、糖尿病網膜症などは、ロービジョンの主な原因となる病気です。加齢黄斑変性は、加齢に伴い網膜の中心部である黄斑が変性することで、視力の低下や視野の中心が歪んで見えるなどの症状が現れます。緑内障は、視神経が障害されることで視野が狭くなったり、視力が低下する病気です。糖尿病網膜症は、糖尿病の合併症として網膜の血管が損傷を受け、視力障害を引き起こします。その他、白内障や網膜色素変性症といった目の病気も、ロービジョンにつながることがあります。また、脳卒中や脳腫瘍などの脳の病気や、事故による目の外傷などによっても、視覚機能が低下しロービジョンに至る場合があります。ロービジョンの状態は、その程度や症状、原因によって大きく異なります。見えにくさによって日常生活にどの程度の影響が出るかも人それぞれです。そのため、一人ひとりの状態に合わせた適切な支援が必要となります。例えば、拡大読書器や音声読書機などの補助具を使用したり、日常生活動作の訓練を受けたりすることで、日常生活の質を向上させることができます。また、周囲の理解とサポートも重要です。ロービジョンの方が見えにくいことを理解し、適切な配慮をすることで、社会参加を促進し、より豊かな生活を送ることができるよう支援していくことが大切です。
老化防止

健康寿命をのばそう

健康寿命とは、医療や介護といった人の手を借りずに、自分の力で日常生活を送ることができる期間のことを指します。これは、ただ長生きをするという意味ではありません。人生の最後まで、自分の足で歩き、食事を楽しみ、家族や友人と充実した時間を過ごすためには、健康寿命を延ばすことがとても大切です。つまり、健康寿命とはどれだけ元気に自立した生活を送れるか、という生活の質に着目した考え方です。寝たきりになったり、認知症などで介護が必要な状態になってしまっては、いくら長生きしても、自分らしい生活を送れているとは言えません。健康寿命を延ばすことで、寝たきりや要介護の状態になる期間を縮め、元気に過ごせる期間を長くすることができます。この健康寿命という考え方は、2000年に世界保健機関(WHO)が提唱したものです。今では世界中で注目を集めており、特に高齢化が進む日本では、その重要性はますます高まっています。誰もがいつかは年を重ね、老いという過程を経験します。だからこそ、健康寿命を延ばすことは、私たち一人ひとりの課題と言えるでしょう。健康寿命を延ばすためには、バランスの取れた食事、適度な運動、質の高い睡眠など、日々の生活習慣を改善していくことが重要です。また、定期的な健康診断も、病気の早期発見・早期治療につながるため、健康寿命の延伸に大きく貢献します。健康寿命について考え、具体的な行動に移していくことは、自分らしい人生を送るために欠かせないと言えるでしょう。
医療

世界保健機関:健康への取り組み

世界保健機関(略称WHO)は、世界中の人々が健康に暮らせるように設立された国際機関です。正式名称は世界保健機関といい、国際連合の専門機関の一つとして、人々の健康に関する様々な活動を世界規模で行っています。1948年の設立以来、長い歴史の中で感染症対策や保健医療制度の強化など、様々な分野で成果を上げてきました。本部はスイスのジュネーブに置かれ、世界各国に事務所を展開し、それぞれの地域の実情に合わせた活動を行っています。WHOの活動は多岐にわたります。感染症の予防や治療といった病気への対策はもちろん、母親と子どもの健康を守る活動、人々が十分な栄養を摂れるようにする活動、健康を積極的に増進するための活動など、人々の健康に関わるあらゆる分野を網羅しています。これらの活動を通して、世界中の人々が健康で長生きできる社会の実現を目指しています。具体的には、調査や研究、必要な情報の提供、技術的な支援、国と国との協力などを通して、各国の保健医療水準の向上に貢献しています。また、病気の流行や災害発生といった緊急時には、迅速な支援活動を行っています。WHOは、世界保健総会、執行理事会、事務局の三つの主要な機関から成り立っています。世界保健総会は、全ての加盟国で構成され、WHOの活動方針や予算を決定する最高意思決定機関です。執行理事会は、世界保健総会で選ばれた34の加盟国で構成され、総会で決定された事項を実行に移す役割を担います。事務局は、事務局長をトップとする職員組織で、WHOの日常業務を執行しています。このように、WHOは複雑な仕組みと多くの職員によって運営されており、世界中の健康問題に取り組む重要な役割を果たしています。WHOの活動は、私たちの健康を守る上で欠かすことができない存在と言えるでしょう。
医療

ICF:できることに注目した新しい視点

国際生活機能分類(こくさいせいかつきのうぶんるい)とは、世界保健機関(せかいほけんきかん)が2001年に提案した、人の暮らしぶりを色々な面から見ていくための世界共通の枠組みです。これは、国際生活機能分類の英語名であるInternational Classification of Functioning, Disability and Healthの頭文字をとってICFとも呼ばれています。従来の考え方は、できないことに注目して障害を捉えることが多かったのですが、この枠組みは違います。一人ひとりの健康状態を全体から見て、その人が社会の中でどのように暮らし、どのような活動をしているのかを評価することを目指しています。つまり、単に障害があるかないかを見るのではなく、その人が持っている能力や可能性に目を向けるのです。そうすることで、より効果的な手助けや世話をするための土台を作ることを目的としています。以前は、国際障害分類(こくさいしょうがいぶんるい)(ICIDH)というものが使われていました。これは、主に「できないこと」に焦点を当てた考え方でした。しかし、ICFは「できること」を大切にし、個人の暮らしの質を上げるための積極的な取り組みを促すものとなっています。具体的には、ICFは心身機能・身体構造、活動、参加という三つの視点から人の状態を捉えます。そして、これらに影響を与えるものとして、環境因子と個人因子を挙げています。環境因子は、その人の周りの環境、例えば、家族や友人、社会制度などを指します。個人因子は、その人の年齢、性別、性格、生活歴などを指します。これらの要素を総合的に考えることで、その人が社会の中で自分らしく生きていくために、どんな支援が必要なのかを明らかにすることができます。ICFは、医療、福祉、教育など、様々な分野で活用されることが期待されています。
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