介護職 残存能力を活かした介護
人は誰でも年を重ねるにつれて、あるいは病気や思わぬ出来事によって、身体や心の働きに変化が現れることがあります。しかし、そうした変化があったとしても、その人の中には必ず、輝き続ける力、すなわち「残存能力」が残っているのです。残存能力とは、文字通り、残っている能力のことです。これは、例えば、足腰が弱ってしまって自由に歩けなくなってしまったとしても、手先を器用に使って細かい作業をすることができたり、あるいは、記憶力に以前ほどの自信が持てなくなってしまったとしても、周りの人と笑顔で会話を楽しんだりといった、様々な能力を指します。身体を動かす力だけでなく、考える力、感じる力、人と繋がる力など、心と体のあらゆる働きが、残存能力に含まれるのです。たとえば、以前は得意だった料理が思うように作れなくなってしまった方がいたとします。しかし、その方が長年培ってきた料理の知識や経験は、決して失われることはありません。材料の下ごしらえを手伝ったり、味付けのアドバイスをしたり、あるいは料理に関する思い出話を家族と楽しんだり、その方らしい形で料理と関わり続けることができるはずです。このように、残存能力は、その人がこれまで歩んできた人生そのものであり、その人らしさを形作る大切な要素なのです。残存能力に目を向けることは、介護においてとても大切です。残存能力を活かすことで、その人は自分自身に自信を取り戻し、より生き生きとした生活を送ることができるようになります。そして、周りの人々は、その人の持てる力を最大限に発揮できるよう、温かく寄り添い、支えていくことが重要になります。それは、その人らしい人生を尊重し、共に豊かな時間を創り上げていくことに繋がるのです。
