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医療

PTSDと向き合う

心的外傷後ストレス障害、いわゆる心的外傷後ストレス障害(PTSD)とは、生命の危険を感じるような体験、あるいは、そのような出来事を目撃したことで、強い精神的な衝撃を受けることによって発症する心の病気です。自然災害で家や家族を失ったり、大きな事故に遭ったり、犯罪の被害者や目撃者になったり、虐待を受けたりするなど、様々な出来事がきっかけとなり、ある日突然、症状が現れることもあります。これらの衝撃的な出来事を経験することで、脳の一部の働きに変化が起き、様々な精神的な症状や身体的な症状が現れます。眠れない、食欲がない、頭痛がするといった身体的な症状に加え、不安や恐怖、怒り、罪悪感といった感情のコントロールが難しくなることもあります。この障害は、特別な人だけがなるものではなく、誰にでも起こりうるものです。むしろ、私たちにとって身近な問題であり、社会全体で理解を深め、適切な対応をすることが重要です。日常生活を送る中で、突然過去のつらい記憶が、まるで映画の1シーンのように鮮明に蘇ってくることがあります。これをフラッシュバックといいます。フラッシュバックが起こると、強い不安や恐怖に襲われ、息苦しくなったり、動悸が激しくなったりすることもあります。また、トラウマとなった出来事を思い出させるような場所、人、状況を無意識のうちに避けるようになり、社会生活に支障をきたすこともあります。たとえば、事故現場の近くを通ることができなくなったり、事故に遭った時間帯に外出することが怖くなったりするなど、日常生活に様々な影響が出ます。心的外傷後ストレス障害の症状は人それぞれで、いつ、どのように現れるかも様々です。症状の現れ方には個人差があり、同じ出来事を経験しても、発症する人、しない人がいます。また、発症したとしても、症状の重さや持続期間も人によって異なります。そのため、周囲の理解と適切な支援が不可欠です。一人で抱え込まずに、家族や友人、専門機関に相談することが大切です。早期に適切な治療や支援を受けることで、症状の改善や回復につながります。
資格

心の支えとなる専門家:精神保健福祉士

精神保健福祉士(せいしんほけんふくしし)は、心の問題や精神の病気を抱える方々、そしてそのご家族が、地域社会で自分らしく生き生きと暮らせるよう支える専門家です。相談援助、社会復帰支援、そして地域社会の精神保健福祉の向上といった活動を通して、人々の心の健康を保つ重要な役割を担っています。相談援助では、まずじっくりとお話を伺うことから始めます。不安や悩み、困っていることなど、丁寧に聞き取りを行い、その人が何を必要としているのか、問題の根本はどこにあるのかを理解することに努めます。そして、その方の状況や希望に合わせた、オーダーメイドの支援計画を作成します。その計画に基づき、問題解決のため、共に歩んでいきます。社会復帰支援では、就労のサポート、住まいの確保、日常生活を送るための技術の向上など、社会生活を送るために必要な支援を提供します。例えば、仕事を探すお手伝いや、生活に必要な金銭管理の指導、家事の練習なども行います。地域社会の精神保健福祉向上のためには、地域住民向けの啓発活動や相談窓口の設置なども行います。精神の病気や心の問題についての正しい知識を広め、偏見をなくすための活動も大切な仕事の一つです。精神保健福祉士は、病院や福祉施設、保健所、市町村役場など、様々な場所で働いています。医師や看護師、臨床心理士など、他の専門家と協力して仕事を進めることも多く、より質の高い支援を提供できるよう、常に連携を大切にしています。精神保健福祉士は、いつでも相談者の気持ちに寄り添い、共に歩むことで、回復への道のりを支える存在であり続けます。
医療

処方箋と現病歴:医療現場の二つのPI

お薬手帳と共に、私たちにとって身近な存在である処方箋。この処方箋は、よく「PI」と略されることがあります。この「PI」は、ラテン語の「Praescriptio(プラエスクリプティオ)」の略語で、日本語では「処方箋」を意味します。医師が患者さんのために必要な薬の種類や量、服用方法などを細かく指示した文書が、この処方箋です。薬局で薬を受け取る際には、必ず必要となります。処方箋には、患者さんの氏名、年齢、医師の氏名と所属する医療機関名、発行日などが記載されています。もちろん、処方される薬の名前、使い方、一回の量、一日の服用回数、服用期間なども詳しく書かれています。「PI」以外にも、「Rp.」という略語も使われます。これはラテン語の「Recipe(レシピペ)」を略したもので、「受け取れ」という意味です。医師が患者さんに薬を処方する際、この処方箋が重要な役割を担っています。薬の種類や量、服用方法などを明確に指示することで、患者さんが適切な薬による治療を受けられるようにし、健康を守ります。また、薬の誤った使い方や、必要以上の量を飲んでしまうことを防ぐためにも、処方箋は欠かせません。近年では、電子処方箋の普及も進んでいます。医療機関と薬局の間で情報が速やかにやり取りされることで、より安全で効率的な薬物療法が可能となっています。紙の処方箋を持ち歩く必要がなくなり、紛失の心配もありません。また、過去の処方歴を確認することも容易になるため、より適切な薬の選択につながります。このように、処方箋は患者さんの健康を守る上で、なくてはならない大切な役割を担っています。
医療

カルテ用語「PH」:既往歴を学ぶ

病院などで治療を受ける際、医師や看護師が使うカルテには、様々な略語が使われています。カルテに書かれた情報をもとに、患者さんの状態を正しく理解し、治療方針を決める必要があるからです。数ある略語の中で、「PH」は過去の病歴を意味する言葉です。「PH」は英語の「Past History(過去の経緯)」の頭文字をとったもので、日本語では既往歴とも言います。この既往歴には、過去にかかった病気やけが、手術の経験、アレルギーの有無といった情報が含まれます。これらは、患者さんの健康状態を理解する上で非常に重要な情報です。例えば、腹痛を訴える患者さんがいたとします。もし患者さんに胃潰瘍の既往歴があれば、医師は過去の病気が再発した可能性を考え、検査などを行います。また、薬を処方する際にも、過去のアレルギー反応を参考に、安全な薬を選ぶことができます。このように、既往歴は適切な診断と治療を行うために欠かせない情報なのです。医師や看護師は、患者さんから詳しく話を聞いたり、過去の検査結果を確認したりして、既往歴を丁寧に把握します。患者さん自身も自分の既往歴を把握しておくことは大切です。過去の病気を再発させないための生活習慣を心がけたり、アレルギーの原因となる食品や物質を避けたりすることで、健康を守ることができます。また、緊急時には、医師に過去の病歴を伝えることで、迅速で適切な処置を受けられる可能性が高まります。自分の健康を守るためにも、日頃から既往歴を意識し、必要に応じて医療関係者に伝えるようにしましょう。
医療

ペグ:口から食べられない時の栄養補給

『ペグ』とは、正式には『経皮内視鏡的胃瘻造設術』と呼ばれる医療行為の略称です。口から食物をうまく飲み込むことが難しい方にとって、必要な栄養を体に取り入れるための大切な方法の一つです。ペグの手順をご説明します。まず、お腹の皮膚に小さな穴を開けます。そして、その穴を通して内視鏡と呼ばれる、先端に小さなカメラが付いた細い管を胃まで挿入します。内視鏡で胃の中を確認しながら、お腹の穴と胃に小さなチューブをつなぎます。このチューブを通して、液体状の栄養剤や水分を直接胃に送り込むことができます。お腹を大きく切る手術とは異なり、内視鏡を使って小さな穴を開けるだけなので、体への負担が少ないという大きな利点があります。では、どのような場合にペグが必要となるのでしょうか?脳卒中などの病気の後遺症でうまく飲み込めなくなってしまった方や、神経の病気、がんなどの病気で口から十分な食事をとることができない方などが挙げられます。また、年齢を重ねることで飲み込む力が弱くなってしまった方にも、ペグは有効な手段となります。ペグを設置することで、必要な栄養を確実に摂取することができ、健康状態を維持することに繋がります。しかし、ペグはすべての方に適応されるわけではありません。口から食事をとることが難しいだけでなく、胃や腸などの消化機能が正常に働いていること、そしてある程度の期間、生存が見込まれることなど、いくつかの条件を満たす必要があります。ペグの設置は、患者さんの状態や生活に大きな影響を与えるため、医師や栄養士などの専門家とよく相談し、ご家族と話し合って決めることが大切です。ペグについて疑問や不安があれば、遠慮なく医療スタッフに相談するようにしましょう。
医療

腹膜透析:自宅でできる血液浄化

腹膜透析とは、腎臓の働きが弱くなった時に、血液をきれいにし、体の中のいらないものや過剰な水分を取り除く治療法です。健康な腎臓は、血液をろ過して、老廃物や余分な水分を尿として体外に排出する大切な役割を担っています。しかし、腎臓の働きが低下すると、これらの老廃物や水分が体内に溜まり、様々な症状が現れます。腹膜透析は、この弱った腎臓の働きを補うための治療法の一つです。腹膜透析では、お腹の中にある「腹膜」と呼ばれる膜を利用します。腹膜は、胃や腸などの臓器を包んでいる薄い膜で、この膜には目に見えないほど小さな穴がたくさん開いています。この小さな穴が、血液をきれいにする上で重要な役割を果たします。透析液と呼ばれる特別な液体を、お腹の中にある腹膜に一定時間入れておきます。すると、血液中の老廃物や余分な水分は、腹膜にある小さな穴を通って透析液に移動します。その後、老廃物を含んだ透析液をお腹の外に出すことで、血液がきれいになるのです。この一連の動作を繰り返すことで、腎臓の働きを代行します。腹膜透析は、病院ではなく自宅で行うことができるため、自分の生活リズムに合わせて治療を行うことができます。毎日決まった時間に病院に通う必要がないため、通院の負担が少なく、仕事や趣味、家事など、自分の時間を大切にしながら治療を続けることができます。また、機械を使用する血液透析とは異なり、自宅で簡単に行える方法もあります。腹膜透析は、体に負担の少ない治療法であり、より自由な生活を送ることを可能にするため、近年注目を集めています。ただし、腹膜透析にも注意点があります。腹膜炎などの合併症のリスクもあるため、医師とよく相談し、自分に適した治療法を選択することが大切です。
その他

福祉におけるPDCAサイクル:質の高いケアを目指して

介護を必要とする方一人ひとりにとって、その人らしさを尊重し、安心して毎日を過ごせるように支える個別的な支援計画、それがケアプランです。質の高い介護サービスを提供するためには、このケアプランを丁寧に作り上げることが何よりも大切になります。ケアプランを作る際には、まず利用者の方の状況を詳しく把握する必要があります。身体がどれくらい動かせるか、どのような病気を抱えているか、記憶力や判断力はどうかといった身体機能や認知機能に関する情報はもちろん、住んでいる家の環境や家族構成、これまでの生活習慣や趣味、大切にしていることなど、生活に関わるあらゆる情報を丁寧に集めます。そして、ご本人だけでなく、ご家族、ケアマネージャー、医師、看護師、介護士など、関わる全ての人が同じ情報を共有することが重要です。そうすることで、皆で同じ方向を見て、利用者の方にとって最善の支援を提供できる体制を作ることができるのです。ケアプランには、利用者の方がどのような生活を送りたいのかという希望を最優先に、実現可能な目標を設定します。その目標を達成するために、どのようなサービスが必要なのか、誰がいつどのようにサービスを提供するのか、そしてその効果をどのように確認していくのかを具体的に書き記します。例えば、「自宅で出来るだけ自分のことは自分でやりたい」という希望があれば、自立を支援するための具体的なサービス内容を盛り込みます。服を着替える、食事をする、トイレに行くといった日常生活動作を、ご本人が安全にできる範囲で行えるように、適切な介助方法や福祉用具の活用などを検討します。ケアプランは作って終わりではありません。利用者の方の状態は変化しますし、希望も変わるかもしれません。定期的にケアプランを見直し、必要に応じて修正を加えることで、その時々に最適なケアを継続して提供できるよう努めることが大切です。関係者間でしっかりと連携を取り、利用者の方を中心とした、柔軟で丁寧なケアを目指していくことが重要です。
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