医療 くも膜下出血の基礎知識
くも膜下出血とは、脳を包む膜の一つであるくも膜と軟膜の間の空間(くも膜下腔)に出血が起こる病気です。このくも膜下腔には、脳と脊髄を衝撃などから守る役割を持つ脳脊髄液で満たされています。ここに本来あるべきではない血液が流れ込むことで、脳脊髄液の流れが阻害され、脳への圧迫や刺激といった様々な影響が生じ、神経症状を引き起こします。最も特徴的な症状は突然の激しい頭痛です。今まで経験したことのないような激しい痛みが突然起こり、「頭をハンマーで殴られたようだ」「人生最悪の頭痛」などと表現されることが多いです。その他、吐き気や嘔吐、意識障害、けいれん、麻痺などの症状が現れることもあります。このような症状が出た場合は、すぐに医療機関を受診することが重要です。放置すると、後遺症が残ったり、命に関わる危険性も高まります。くも膜下出血は年間約3万人が発症すると言われ、決して珍しい病気ではありません。働き盛りの世代から高齢者まで幅広い年齢層で発症する可能性があり、誰にとっても他人事ではありません。主な原因は脳動脈瘤の破裂で、これは血管の壁が弱くなって膨らみ、こぶ状になったものです。高血圧や喫煙、大量の飲酒などが動脈瘤破裂の危険因子として挙げられます。また、脳動脈奇形と呼ばれる先天的な脳血管の異常が原因となる場合もあります。治療は、出血を止めることと、再出血を防ぐことを目的に行われます。手術療法には、開頭クリッピング術と血管内治療があります。開頭クリッピング術は、開頭手術により動脈瘤の根元にクリップをかけ、血流を遮断する方法です。血管内治療は、足の付け根の血管からカテーテルを挿入し、動脈瘤内にコイルなどを詰めて血流を遮断する治療法です。どちらの方法を選択するかは、患者さんの状態や動脈瘤の位置、大きさなどを考慮して決定されます。くも膜下出血は早期発見・早期治療が非常に重要です。激しい頭痛などの症状が現れた場合は、すぐに医療機関に相談しましょう。
