認知症 介護における相反する感情:アンビバレンス
相反する気持ち、つまり好きと嫌いの両方を同時に感じることを『両価感情』といいます。これは、介護をする場面でよく見られる心の状態です。例えば、愛情深い家族のために、献身的に身の回りの世話をする中で、心身ともに疲れてしまったり、自分の生活に大きな影響が出てしまったりすることがあります。このような状況では、どうしてもマイナスの感情が湧き上がってきてしまうのは、ごく自然なことです。介護をされている大切な方のことを大切に思う気持ちと、介護の負担による苦労との間で心が揺れ動き、葛藤することは、多くの介護者が経験することです。お世話をする喜びや感謝を感じる一方で、時にイライラしたり、悲しくなったり、逃げ出したい気持ちになったりするかもしれません。こうした相反する感情を持つ自分を責めてしまう方もいらっしゃるかもしれません。しかし、両価感情を持つことは決して悪いことではなく、人間であれば誰しもが経験し得る自然な心の反応です。むしろ、このような気持ちに気付くことが、ご自身の心の健康を守るための第一歩となります。両価感情に気付いたら、まずはその感情を否定せずに受け入れることが大切です。自分の気持ちを書き出したり、信頼できる人に話したりすることで、気持ちが整理され、落ち着きを取り戻せることがあります。また、地域包括支援センターや相談窓口などに相談することで、具体的な解決策を見つける助けになることもあります。介護は長期にわたる場合が多く、一人で抱え込まずに、周りの人に頼ったり、専門家の支援を受けることで、心身の負担を軽くし、より良い介護生活を送ることができるでしょう。
