ナラティブアプローチ

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語りを通して人生を再構築する支援

人と人との関係性を大切にする支援の方法として、『語り』を通して人を支える方法があります。これは、近年注目されている『語りによる支援』、専門的に言うとナラティブアプローチと呼ばれるものです。この方法では、人生で起こった出来事や経験を、物語のように捉え直し、新たな意味を見出すことで、困難な状況を乗り越え、成長につなげることを目指しています。心の専門家が考え出したこの方法は、介護の現場だけでなく、障害のある方の支援や、問題を抱える子どもや若者への支援など、様々な場面で使われています。これまでの支援では、問題を抱える本人に注目し、その原因や解決方法を探すことが一般的でした。しかし、『語りによる支援』は、問題そのものよりも、問題に影響を受けている人の『語り』を大切にします。人は誰でも、自分の人生を物語のように解釈し、意味づけながら生きています。そして、つらい状況に置かれると、その物語は問題ばかりに目が向き、自分自身を責めてしまいがちです。この支援方法は、そのような問題中心の物語から、一人ひとりの力や可能性に目を向けた物語へと、語り直すことを促します。そうすることで、より良い人生を送るための支えとなるのです。これは、まるで人生という物語を編集し直す作業のようなものです。過去の経験を新しい視点で見つめ直し、未来への希望を見つける機会を与えてくれます。具体的には、支援者は、相談者とじっくり話し合う中で、問題に隠れてしまっていたその人の力や大切にしていること、これからどうしたいかなどを丁寧に拾い集め、それらを新しい物語の材料として組み立てていきます。この作業を通して、相談者は自分自身を肯定的に捉え直すことができ、問題への対処方法を見つけ、自分らしく生きていく力を取り戻していくのです。
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